「大丈夫、死にはしない」。シャンパンの鬼・彩花ゆいの強さの根源にあるもの

こちらは2021.8のインタビュー記事です。

福岡は中洲で「シャンパンの鬼」と呼ばれ、在籍していた「CLUB ATELIER(アトリエ)」で2019年、グループで最高の売り上げを記録した元No.1キャバ嬢、彩花ゆい。現在は、銀座「クラブMirazur(ミラジュール)」で社長兼ママとして活躍、YouTubeや雑誌『姉ageha』でモデルを務めたり古巣ATELIERグループのアンバサダーに就任するなど、幅広い活動を行っています。彼女の強みは、看護学校に通っていた経験を活かした、カウンセリング力の高い接客スタイル。常にギリギリの忙しさを攻めてきた彩花さんだからこその、独自の接客・仕事論とは。

【彩花ゆい】

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Twitter:https://twitter.com/ayakayui58

元気で明るい彩花ゆいを支える、看護学校時代の経験

編集部

本日はよろしくお願いします。

彩花ゆい

彩花ゆいと申します。こちらこそ、よろしくお願いします〜!

編集部

元気! 写真で見る雰囲気よりも、明るい方なんですね。彩花さん。

彩花ゆい

周りの人にも、写真で見ると物静かそうだけど、意外と元気な人なんだねって言われることが多いかもしれないです。YouTubeを見てくださってる方は、雰囲気が伝わってるんじゃないかなと思います。

編集部

元気で明るいのは、もともとの性格ですか?

彩花ゆい

学生時代は人見知りだったんですよ。でも、ずっと克服したいなと思っていて。荒療治ですけど、高校生の時に思い切ってマクドナルドでアルバイトすることにしたんです。「スマイルください!」とか、言われたりするじゃないですか。そういう無茶振りに仕事で答えて行く中で、どんな人でも大丈夫になったというか、明るく接することができるようになったんです。

編集部

努力家ですね。人見知りを直したかったのは、キャバクラなど接客業に憧れがあったからですか?

彩花ゆい

いえ、単純に人見知りしちゃう自分が嫌だった、という感じで。キャバに入店したのは、福岡での看護学生時代に、学校で使う様々な経費や学費の足しにしようと思ったからです。

編集部

看護学校は病院実習があったり、大学生よりも忙しいイメージがありますが……。

彩花ゆい

今振り返っても、人生で一番たいへんだったのは看護学校と夜職の両立だったなと思っています。朝から夕方は病院で実習をして、夜はキャバクラで働いて。そのあと、深夜はスナックでも働いていたんです。家に帰って寝れるのは深夜3時とかで、次の日はまた、実習の準備とかも含めて朝6時には起きなきゃいけない、っていうワーカホリック生活でした。
でも、あの時限界まで働いた経験があるから、精神的にも体力的にもタフになれたというか……あの頃より大変なことは、今後の人生でもうあまりないんじゃないかと思います(笑)。

編集部

キャバクラとスナックを両立された理由はなんですか?

彩花ゆい

一番大きい理由は、スナックのママに熱烈に誘っていただいたからというか……フットワークで始めちゃったんです。でも、アフター同伴でそのままスナックにきてもらうこともできるし、ちょうどいいかなと思って。

編集部

すごいですね。働きマンというか、タフというか……。

彩花ゆい

はじめる時はいつも「まあなんとかなるよね」精神なんです。で、実際やってみたら楽しいから、けっこう続いちゃうんです。看護学校の時なんてもう軍隊みたいな生活だったけど、それでも生きてるし……たぶん死なないので大丈夫です(笑)。ただ、私の時間がなすぎて周りに気を使わせてしまうこともあったりするので、もっと頑張らなきゃ、とは常に思っています……。

病院で学んだ「カウンセリング力」はどんな現場でも活きる

編集部

2021年5月には著書『愛を注ぐ人』も出版し、看護学生時代に培った「カウンセリング力」についても言及されていましたね。

彩花ゆい

看護師としての経験は、接客や対人コミュニケーションの中で今も大きく活きているように感じています。看護師時代には「すべての患者さんを家族と思って接するように」と思わったのですが、今もすべてのお客様に対してそう思うようにしています。

編集部

初対面のお客様に対して「家族のように接する」ことに、コツってありますか?

彩花ゆい

家族って、お互いに心配したり相談に乗ったりするじゃないですか。自分に関わりのある人として、相手に興味を持っている状態だと思うんです。だからまずは、なんでもいいから目の前のお客様に対し、興味を持って接することが大切だと思います。
病院では、患者さんのことをよく観察するように、と言われるんです。毎日少しずついろんな患者さんとお話をする中で、小さな変化を見逃さないようにすること。

編集部

彩花さんは、初対面のお客様にどんな質問をすることが多いですか?

彩花ゆい

病院でも、最初は患者さんのカルテを元に体調を観察したり、会話の糸口を見つけたりします。だからまずは、その人の基本データを集めるようにしています。
最初は、キャバクラが好きな人なのかどうかを確かめることが多いですね。付き合いで来ている人なのか、よく遊びに来る人なのか。あとは、好きな女の子のタイプを聞くようにしています。恋バナって話が弾むし、その人の性格を理解しやすいんです。昔の恋愛の話になることもあるし、その人がどんな女性にときめいて、どんな女性を地雷と感じるのかがわかると、自分も接しやすくなるんですよ。

編集部

彩花さんのカウンセリング接客って、視野が広いですよね。これって、他の女の子にも真似できることなのでしょうか。

彩花ゆい

私も看護学校に入るまでは、人に興味を持てないタイプだったんです。看護学校に入ってからめきめきと磨かれたスキルなので、接客をこなしていくうちに、人に興味を持つという感覚がどういうものか、分かっていくんじゃないかと思います。最初はトライアンドエラーを繰り返すかもしれないけど、経験で培えるスキルだと思いますよ!

編集部

現在は上京し、銀座のクラブに出勤されていますよね。カウンセリング接客は、フィールドがキャバクラからクラブに変わっても活きていますか?

彩花ゆい

キャバクラとクラブはシステムも接客もまったく違うのですが、活きている部分はあると思います。キャバクラは完全に個人プレーだったけど、クラブはチームプレーなんです。なので、お客様はもちろんですが、まずは黒服、キャストとの関係値をしっかり作ることも大切。クラブではお客様だけでなく、一緒にヘルプにつく女の子にもしっかり興味を持ち、どんな接客をしようとしているか理解する姿勢が大切だなと思っています。

編集部

実際働いてみて、どちらの方が大変ですか?

彩花ゆい

キャバクラは個人プレーだから、接客の失敗も成功も、全部自分の責任の範囲内だったのは気楽だったなと思います。でもクラブは協力プレーなので、システムに慣れるまでは大変だったかも。でも、ここでしか身につかない接客スキルが身についている実感もあります。

クラブ移籍から、彩花ゆいが見据える将来

編集部

キャバクラからクラブに移動して、どんな環境の変化を感じますか?

彩花ゆい

クラブは紹介制なので、きちんとした職業の方しか入店できないんです。そういう意味では、女の子も安心なのかなとは思います。あとは、キャバクラ時代はSNSマーケティングもすごく重要だったのですが、クラブではあまり求められないので、驚きましたね。

最近はお客様同士のビジネスマッチングをさせてもらうこともあって。ホテル経営をしたいというお客様に、不動産会社を紹介したり、実際にホテルを経営しているお客様に意見を聞いてお伝えしたりとか……。キャバクラではなかったことですが、一つ責任を任されているからこそできることではあるので、やりがいを感じています。私は売り上げ制なのであまり関係ないですが、ヘルプとして働く場合高い日給保証がある分、毎月厳しい査定もあるので、パフォーマンスが悪いとクビになってしまう可能性もあります。銀座は、『明日から来なくていいよ』というのが実は結構ある。身が引き締まる気持ちですね。

編集部

プライベートではどうですか?

彩花ゆい

そうですね……私、東京に来るまでは、福岡が日本で一番いいところって思っていたんです。でも、来てみたら東京もすごくいいところでした。空港もすぐそばだから、弾丸旅行に行きやすいし。ちょっと心が疲れた時とか、動物カフェがたくさんあるから息抜きもしやすいし。元々横浜にも長く住んでいたのですぐ慣れました。

編集部

旅行や動物でストレスを発散する?

彩花ゆい

弾丸旅行はよく行っちゃいます。普段、仕事を詰めすぎてしまいがちなので、たまには連休を取って、仕事のことはすべて忘れる週を作って、切り替えるようにしています

編集部

彩花さんすごく気を使ってくれるから、自分が疲れちゃうことも多そうですよね。

彩花ゆい

そんな時は「看護学校時代よりはマシ」と思いながら悟りを開きます(笑)。でも昔は、自分の気遣いが意図しない方向で切り取られてしまうこともあって。そんなつもりはないのに色恋っぽくなってしまって、お客様にストーカーされてしまったりとか……。そういうトライアンドエラーを繰り返して、今は精度が高まり、心のHPも増えているのかも。

編集部

ありがとうございます。では最後に……YouTube活動や姉agehaのモデル活動など、幅広くご活躍されていると思いますが、今後の人生の目標を教えてください。

彩花ゆい

結婚して子どもを生んで電撃卒業するか、このまま接客業を極めていくかで悩んでいます。結婚の予定があるわけではないので、こっちは願望なんですけどね(笑)。接客を極めるなら、いつかはママという立場になれたらと思っています。もともとクラブに移転したのも、そういうキャリアを形成したかったからなんです。

ママとしてのお仕事を全うできたら、裏方の仕事もやっていきたいです。というのも、忙しすぎることよりもこのままお酒を飲み続けることの方が、死ぬ可能性が高いんじゃないかと思って(笑)。でもそのくらいお酒が好きだし、接客も大好きなので、できるだけ長く、その時の自分に合う立場で仕事していけたら嬉しいです。

取材陣にも常に明るく、笑顔で優しく接してくれる彩花さん。でも、取材に同行してくれたマネージャーさんは「彩花より努力家な女の子を、私は知りません」とも評価していました。隠れた努力を怠らず、みんなの前ではいつも笑顔の彩花さん……まさに「母」。クラブに移籍したことで、彩花さんの母力はさらに増加していきそうです。彩花さんの接客テクニックやカウンセリングの姿勢については、著書『愛を注ぐ人』にも細かく書いてあります。会話力を向上させたい人なら、誰でも読む価値アリです。