複数の店舗で、新人ホストくんたちになぜこの店を選んだのかを調査したところ、理由のトップは給料面ではなくて、先輩たちが優しかったから・人間関係の雰囲気がよかったからというものでした。
こうした理由からも指導の場面で怒ってしまうのは、新人が続かないなどのデメリットが大きいと言えるでしょう。
また、長期に渡って怒りを感じ続けると、脳の構造や神経回路に変化が生じて、怒りをコントロールしにくくなることもわかっています。
前編ではアンガーマネジメントを取り入れた指導について紹介しました。後編では、実際のコントロール法と日頃からできるトレーニング方についてお伝えします。
怒りがこみあげてきた時の対処法
怒りがこみ上げてきたときに、怒りにのまれずまず落ち着くことが必要です。
深呼吸をする
ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと吐きます。このとき、腹式呼吸をすることで、脳に酸素を送り込むことができます。
怒りは頭に血が上った状態よね。つまり、怒っているとき、脳内の運動や感情のコントロールをする部位に血液が集中し、冷静な思考ができなくなるのよ。
冷静な思考をする部位に酸素が行き渡らなくて、冷静な判断ができなくなるってわけなんですね。
深呼吸をすれば脳のすみずみまで酸素が行き渡り、冷静な思考ができるようになるってことかー。
脳全体に酸素や栄養素が行き渡るから、頭が冴えるのよ。かしこい判断ができるようになるとも言われているわ。
同時に数を数えると、その間思考は止まるよね。深呼吸と合わせると脳をリフレッシュすることができるのでおすすめ。
怒られている方も「え?どうしたの?」ってなるから、頭が切り替えられるね。
目を閉じる
目を閉じることで、目からはいってくる情報や周囲の刺激を遮断することができます。
目の前の後輩から一瞬距離を置いて自分自身に集中すると、落ち着きが戻るのです。
指導する時、後輩の態度が悪くてよけいに怒ってしまうことがあるわよね。
だからいったん目を閉じて、後輩と自分を分けるのが効果的よ。
目を閉じると「ああ、俺は今怒っているんだな」と客観的に自分を見ることができ、興奮を鎮められるわ。
叱られている時、先輩が目を閉じたら「怒りをこらえてくれているんだ」ってのが伝わってくるよ。
自分に問いかける
「なぜこんなに怒っているのだろう?」と自問自答すると、感情を客観的に見つめることができます。
また、自分はどうしたいのか、何を大切に感じているのかを考えてみましょう。
その結果、怒りにまかせて怒鳴るのではなく、相手にどうしてほしいのかをわかりやすく伝えられるようになります。
グラスを倒して何もしなかったAに対して「お前なにしてるんだ!」って怒るんじゃなくて、「スピードが大切だから、グラスを倒したらすぐ拭いて」って伝えられるようになるんだね
叱り方のポイント
ミスをした時怒ってばかりだと、従業員たちはミスを隠ぺいしようとしたり、怒られるかもしれないという緊張のため逆にミスが起こりやすくなったりします。
だからといって、ミスを指摘しないと成長は期待できません。
そこで、怒るのではなく、上手に叱る技術が必要になってきます。
NGな叱り方
・「お前は無能だ」「お前は何やらせてもダメだ」などと人格を否定することばを使う
・「ちょっとはBを見習え」「Cはちゃんとできたぞ」などと人と比較する
・人前で叱る
・長時間同じことを何度も叱る
・LINEやメールなど文章だけで叱る
このような叱り方はパワハラにもあたるので辞めましょうね。
そんなん言われたら傷つくし、自信を失ってしまうよ。
文章だけだと冷たい感じになるからよけい怖く感じてしまうね。
OKな叱り方
・「これをしとけ」と命令するよりも、「これは大切なだから、一緒に考えて対策を考えよう」と提案する
・一方的に叱るのではなく「俺はこのことについて心配しているんだけど、君はどう思う?」と相手にちゃんと意見を聞く
・できていない部分を叱るだけでなく、できている部分をその倍褒める
・叱る時はLINEだけですませず、電話でフォローを。
・叱る時は別の方向に顔を向けるのでなく、きちんと目を見て伝える
とは言うものの、ついついきつく怒ってしまうこともあるでしょう。
そのときは後でしっかり謝って誠意を見せれば、逆に尊敬できる先輩だと一目置かれることになりますよ。
日頃からできる怒りのコントロール術
とはいうものの、頭で理解できていても、とっさのときはなかなか思うような行動ができないでしょう。
そのために日頃からのアンガーマネジメントのトレーニングは効果的です。
疲れやストレスが貯めない
疲れやストレスがたまるほどに人はネガティブな感情が大きくなります。
最近怒りっぽいなと気づいたなら、疲れがたまっているのかも。ゆっくり休むことを心がけましょう。
自分自身を客観的に見つめ直す
自分の怒りの感情を冷静に分析しましょう。
怒りを感じる理由は主に
・自分の考えを理解してもらえないと感じたとき
・不公正な扱いを受けたと感じたとき
・自分自身が失敗したり、自分に責任があると感じたとき
です。
これを参考に、何が理由で怒りやすいか考えてみましょう。
怒りを言葉に表す
怒りについて、自分がどのように感じたかを言葉にします。
例えば、「怒ってたときは、胸が張り裂けるような感じがした」というように、具体的な感覚を表現しましょう。
また、怒った原因についても言葉にします。
例えば、「怒ったのは、後輩が俺の意見を聞かなかったからだ」などと自分に説明してみましょう。
別の視点から見てみる
自分の怒りを見つめることができたら、今度は相手の立場からの視点で見てみます。
自分が後輩になったつもりで振り返ってみましょう。後輩はどんな理由でその行動をとったのか、その行動の意図があったかを考えます。
グラスが倒れてお酒がこぼれても拭かなかったAの立場を考えてみたら、今までみんなとお酒を飲みに行った経験がなくて、どうしていいかわからなかったってことがわかったよ。
新人の自分が下手に手をだすより、先輩がそばにいたから先輩に任せたほうがいいと判断したってことも考えられるわね。
どっちみち悪気が合ったわけじゃなくて、単なる経験不足なんだな。
普段からシュミレーションしておく
同僚と一緒に、先輩後輩の役柄で、指導の際に怒りそうな場面のシナリオを書いてシュミレーション練習をしておくのもおすすめです。
演習で場数を踏むことで、とっさの怒りの心構えができるようになります。
また、演習であってもうまく行った経験を重ねることで自信がつき、さらに怒らないですむような状況を増やすようになるでしょう。
先輩に叱られて辞めていく後輩が続いたときなど、幹部にシュミレーション演習を提案して、デキる男をアピールするのもいいですね。
ロールプレイングだねー。
PRGだと思って、店全体でやるとおもしろいかも?
リラックス法や瞑想を取り入れる
普段からリラックス法やストレッチ、マインドフルネス瞑想を取り入れることで、怒りや不安などの負の感情を和らげられます。
怒りが湧いたときに感情的になってしまう理由は、脳が「攻撃的な状況」と認識してしまい、身体が反応してしまうことが原因です。
これは身を守るための自然な反応ですが、現代社会ではこの反応が過剰になってしまうことがあります。
日頃からリラックス術を取り入れて、自分に安心感を与えてあげてくださいね。
マインドフルネス瞑想はスティーブ・ジョブズや稲盛和夫など著名な成功者たちも積極的に取り入れていたことで有名ね。
売れたい新人ホストも今日からやってみるといいわよ。
まとめ
後輩指導は難しいものです。厳しくしたつもりはなくても、後輩たちは先輩が怖いと言って辞めていくこともあるでしょう。
しかし全く叱らないと後輩たちの成長も妨げてしまいます。
後輩指導でついつい怒ってしまう場合は、アンガーマネジメント術を取り入れて、上手に怒りをコントロールして効果的な指導をしてみるとよいでしょう。
同時に従業員間のコミュニケーションを積極的に取り、信頼関係を作るのは欠かせません。
後輩育ては自分育て。アンガーマネジメントでますます魅力的なホストになってくださいね。
なぜ深呼吸するといいんですか?