繁華街の呪いに溺れる
思い出が終わって無くなりゆく3月。春は別れと出会いの季節であるという。 3月という季節に限らず、毎日のように出会いと別れを繰り返すこの街・歌舞伎町。今回はそんな歌舞伎町にも一つの区切りをつけようと思う。 以下に2編を続け...
思い出が終わって無くなりゆく3月。春は別れと出会いの季節であるという。 3月という季節に限らず、毎日のように出会いと別れを繰り返すこの街・歌舞伎町。今回はそんな歌舞伎町にも一つの区切りをつけようと思う。 以下に2編を続け...
体が重い、顔が浮腫んでいる、デニムがきつい……気がする。正月太りしたかもしれない。年末年始をひたすら酒飲んで飯食ってテレビゲーム、という怠惰極まりない過ごし方をしたせいだ。 『龍が如く』という、架空の歌舞伎町である「神室...
夜明けの絶望が辺りを覆いつくすころ、歌舞伎町はカオスな微熱に包まれていた。1日が変わってまた1日が始まる世界の正しさとは裏腹に、朝の繁華街は歪みに満ちあふれている。 そんな中で、仕事を終えた夜の民が向かう先は24時間営業...
オールで飲み明かした、夜明けの新宿歌舞伎町。どんよりとした空からは朝日が差し込み始め、街のネオンというメッキが剥がれ始める時間。一夜の狂騒を象徴するかのように、そこらじゅうゴミ、ゴミ、ゴミ。 この時間でも多くの飲食店で食...
AmazonとかSpotifyのおすすめ機能みたいな感じの出会いだったけど、1年好きだった。いや今も好きだ。夜の底が冷えていく中で、この人と出会わなければ良かったと心底思った。 こんなセンチメンタルな気分になったきっかけ...
「じゃあね」と言って彼は黒のトレンチコートを翻らせてどこかへ行ってしまった。彼はどこへ行くのだろう、明日の生死も知らずに。 ──ジェンダーレストイレなどの問題で何かと一時期話題になっていた「東急歌舞伎町タワー」に行ってき...
雨の日はシーシャが美味い……らしい。かつて付き合っていたヘビースモーカーの男も、雨の日は煙草がうまいと言っていた。そういうものか。なんにせよ、とてつもない雨男の俺とは相性がいいようだ。シーシャも、スモーカーの男も。 夜職...
私にとって初めてのキスはホストだったし、最後のキスは知らないおじさんだった。 好きな人となんかキスもセックスもしたことがなかった。それどころか好きな人なんてできたこともなかった。「どんな人でも受け入れてくれる」──そう聞...
「ひゃあ、近くで見ると本当にでっかいなあ」 夕陽を反射している巨大建造物を見上げて、俺はそう独りごつ。ここは水商売のメッカとしてお馴染み、新宿歌舞伎町である。 新宿にはしょっちゅう入り浸っているものの、2丁目やゴールデン...
身に覚えのないべらぼうな額が刻まれたクレジットカードの請求書を見て「こ、これは不正利用されたに違いない…」と慌てて利用明細を調べたら、そこにはちゃんと身に覚えのある買い物リストがずらりと並んでいた。なぜ俺はブレンダーなん...